GBRとは?

 

インプラント治療が適応される症例では、さまざまな理由で歯が失われています。歯周病が重症化して歯槽骨の著しい吸収が起きたり、重度の虫歯で歯が抜け落ちたりするケースも珍しくありません。それらのケースでよく問題となるのが、歯槽骨の状態です。歯肉や歯根膜、歯槽骨といった歯を支えている組織がかなりのダメージを受けていることが多く、すぐにインプラント治療を開始することは困難となります。そこで有用となるのがGBRなどの骨造成です。

 

1.GBRとは

 

GBRとは、骨誘導再生と呼ばれる骨造成法で、インプラントを埋めるにあたって不足している部位を移植骨で補う治療法です。使用される移植骨は患者さん自身の骨だけでなく、人工骨も活用されます。それらを骨の不足部位へと移植し、正常な骨が再生するよう作用させます。

 

2.移植するだけではなく骨を増やす?

 

GBRの特徴は、骨誘導再生という名前からもわかるとおり、患部に自家骨などを移植して終わりではなく、処置後に正常な骨が再生するように促す治療法でもあります。ですから、必ずしも多量の自家骨や人工骨が必要になるわけではなく、患者さんの体がもつ自然治癒力も利用しながら骨の造成をはかります。そのため、治療が完了するまでに数ヵ月かかることがあります。とはいえ、移植するのが自家骨であったり、自然な力で再生した骨で満たされたりするため、拒絶反応などが起こる心配も非常に少ないというメリットもあります。

 

3.GTRとの違いは?

 

GBRに似た治療法に、GTRというものがあります。GTRは日本語に訳すと「組織再生誘導法」となり、再生をするのが歯槽骨だけでなく、歯根膜や歯肉も含まれています。つまり、より広い意味での歯周組織再生療法がGTRです。このGTRもインプラント治療で行われることがあります。なぜなら、歯槽骨だけでなく、歯肉まで著しい吸収が見られる場合は、どちらの再生もインプラント治療において必要になるからです。

 

4.GBRはいつ行うの?

 

インプラント治療において、GBRがいつ行われる処置なのかというのは、気になる点ですよね。まず、GBRが必要になるかどうかは、事前に受ける精密検査で分かります。インプラントの精密検査では、CTを活用して、骨の幅や深さなどを計測します。また骨密度の検査も行いますので、どれくらいの骨造成が必要になるかは、その時点で判明します。ですから、多くのケースでは、実際にインプラント体を埋めるプロセスであるインプラントオペに先立って、GBRが実施されます。そのため、GBRによって骨の状態が安定するまでは、インプラントオペが延期されることとなるのです。

 

5.インプラントオペの最中に行うこともある

 

顎の骨の状態によっては、インプラントオペと同時にGBRも行うことがあります。その方が、患者さんへの体の侵襲も少ないですし、手術回数も減らすことが可能となります。ただ、インプラントオペとGBRを同時に行えるのは限られた症例ですので、全ての患者さんに適応されるわけではありません。骨の吸収が著しく、時間をかけた骨再生が必要なケースでは、インプラントオペの前にGBRを行うことが多いといえます。

 

6.まとめ

 

骨造成法の一種であるGBRは、その効果や安全性が確立された外科処置ですので、とくに不安を感じることはないかと思います。また、本来であればインプラントオペが難しい症例でも、GBRによって骨再生を促すことで、インプラント治療を受けられるようにすることが可能となります。実際、臨床の現場では沢山の患者さんがGBRを受けた上でインプラントオペに臨んでいます。とはいえ、GBRによってどれくらい骨が再生されるかはケースバイケースといえますので、必ずしもインプラント治療が可能になるわけではありませんので、その点は注意しましょう。