インプラントをする時にCTは必要か

インプラントは、治療を開始する前の検査や診断が非常に重要な歯科治療です。もちろん、虫歯治療や歯周病治療も検査や診断が重要であることに変わりはありませんが、インプラントの場合は、診査や診断の段階で、インプラントオペの術式や具体的な処置内容まで決まりますので、ことのほか重要といえるのです。それだけに、精密検査である歯科用CTを活用するケースがほとんどといえます。

 

1.CTは欠かすことのできない検査

 

インプラント治療では、歯科用CTによる撮影を行う歯科医院がほとんどです。歯科用CTという装置自体、とても高額なものですので、そう簡単にとり入れることもできないのですが、インプラントで正確な診断を下す上では欠かせません。そのため、自前で歯科用CTがないところでは、他の施設のものを借りて、撮影することも珍しくはありません。では、インプラント治療において、なぜそこまでCT撮影が重要となるのでしょうか。

 

2.レントゲン画像は2次元

 

歯科治療全般で撮影が行われるレントゲン画像は、言うまでもなく二次元です。デンタルエックス線にしろ、パノラマエックス線にしろ、どこかひとつの角度から1枚のエックス線写真を撮影します。当然、出来上がる写真からは平面的な情報しか得られません。これがもし、虫歯治療や歯周病治療であれば、不十分ではありますが診断を下す材料になります。2次元的な情報であっても、虫歯の有無や歯槽骨の吸収などが確認できれば、あとは具体的な処置へと移れるからです。けれども、インプラント治療においては不十分なのです。

 

3.インプラント治療には3次元的な情報が必要

 

虫歯治療は、エックス線画像で虫歯の有無と大まかな位置を確認し、染め出しを行うなどしながら、手探りで病変を取り除いていきます。染め出される歯質がなくなったら、汚染された部分が取り除かれたことになりますので、あとは消毒をしてレジン充填を行えばよいのです。

 

一方、インプラントはもうすでに決まった形のインプラント体(人工歯根)を限られたスペース(顎の骨)に埋め込む治療ですので、手探りで行うわけにはいきません。いざ、インプラントオペを開始して、思ったよりも骨の深さが足りなかったり、骨密度が希薄だったりしたらどうなるでしょうか。当然のことながら、オペを継続することは困難となり、今後の治療方針を再度考えなければならなくなるのです。ですから、インプラントオペを実施する前に、少なくとも顎の骨の三次元的な情報が必要になります。その他、骨密度の状態や全身疾患の有無など、オペの前に診査しておくべき事項は沢山あります。

 

4.CTなしでも治療は受けられる?

 

ここまで、三次元的な情報が得られるCT検査は、インプラント治療において欠かすことのできないものと述べてきましたが、それでもやはり、費用を抑えたいなどの理由から、CTなしで治療を受けたいという方もいらっしゃるかもしれません。実際、CT検査を行わずにインプラント治療を実施している歯科医院もありますので、不可能ではないといえます。ただし、CTなしでインプラント治療を成功させるとなると、熟練した技術が不可欠ですし、かなりの部分を術者の技能に頼ることとなりますのでご注意ください。そこでひとついえるのは、CTなしでもインプラントを成功させられる歯科医師であれば、CTの情報を得ることで、さらに精密なインプラント治療を実施でき、治療結果も格段に良いものになるということです。

 

5.まとめ

 

このように、インプラント治療においてCTは必要な検査です。CT撮影を行わなければ絶対にいけないわけではありませんが、CTによる三次元的な情報が得られることで、治療結果は必ずと言って良いほど向上するはずです。それくらいCTは重要な検査です。