歯の健康に対する意識を高めるだけでなく、歯を失ってしまう要因を減らすことに意識を向けることも、一種の予防です。少数歯欠損において、インプラント治療の選択が、周囲の歯を連鎖で失わないための予防とも考えられます。ブリッジであれば、はめ込む両側の歯を削ります。入れ歯であれば、そのほかの歯に負荷がかかります。あゆみ歯科クリニックでは、予防歯科を念頭に歯周病(歯槽膿漏)治療や歯内療法に力を入れております。
しかし、どうしても駄目になった歯の部分はインプラント治療を行うことで、さらに周りの歯を駄目にしないように予防しております。
あゆみ歯科クリニックでは、予防歯科を推進し、1本1本の歯を大切に、なるべく歯を抜かない治療を行っています。どうしても抜かなければならない歯はインプラントをおすすめしています。
「予防歯科」という言葉が一般的になってから久しいですが、痛くなってから歯医者に行って削って埋めて一安心、という考え方から、定期的に歯医者さんに行って削らなくてすむようにする、という考え方にシフトしていっています。
しかしこの「予防歯科」という言葉が独り歩きしてしまい、歯を削ることや抜くことが悪のように言われていると感じることがあります。
予防医学の世界では、まず病気にならないようにすることを一次予防、病気になったことで機能障害を起こさないようにすることを二次予防、再発を防止することを三次予防と呼びます。虫歯になってしまった歯を削って治すことは、この二次予防にあたり、立派な予防行為です。
もちろん、一次予防だけで済むならそれが一番良いですが、もうすでにいくつか虫歯があったり、銀歯が入っていたり、入れ歯だったりという人の方が多いと思います。「もう何箇所も治療している私には予防歯科なんて」と言ってしまうのではなく、この二次予防・三次予防に目を向けて、より健康な生活を送ってもらいたいと願い歯科治療を行っています。
私自身例に漏れず、インプラントにあまり関心を持てずにいたのですが、他の先輩たちが治療したインプラント患者さんを見ていると、治療後に不満や悩みを抱えている人がほとんどいないことに気付きました。中には「入れ歯の面倒くささから解放されてうれしい」と言われている方もいて、私が想像していたよりも満足度が高い治療であると関心がわき始めました。
歯科医師としての経験が増えていくにつれ、入れ歯・ブリッジ・インプラントという失った歯を補う方法それぞれのいいところ、悪いところを理解していき、自分が治療して上手くいかなかった部分や、昔どこかでつけたブリッジの経過を数多く見る中で、治療の予後(簡単に言えばどれだけ長持ちするか)が大切であると考えるようになりました。
例えばブリッジ。歯医者さんで「入れ歯は嫌だし、インプラントは怖いからブリッジで治して下さい」と頼むと「両隣の歯を大きく削るのはもったいないのでやめた方がいい」と言われることが多々あります。
ブリッジのデメリットとしてはその通りなのですが、果たして隣の健康な歯を削ってしまうブリッジは、予後が悪いのでしょうか?論文や経験則から「失った歯の場所や周りの歯の状況による」という考えを持つようになりました。部位によっては、ブリッジもインプラントも、予後は大差ないとする研究もあるそうです。そういったことから、インプラントだけが、至高の治療法だとは考えていません。
しかし前述の通り「場所によっては」インプラントがベストになるケースもあると思っています。
特に第一大臼歯(前から6番目の奥歯)1本だけを失った場合です。第一大臼歯は咬み合わせにおいて最も重要な役割を担うと言っても過言ではない歯でありながら、噛んだ時に力がかかりやすい点や、永久歯の中でも初期(6歳)から生えている歯である点からも最も失うリスクが高い歯と言われています。最も重要でありながら最もリスキーなこの歯を失った場合は周囲の歯に負担のかからないインプラントが第一選択になるのでは?と考えるようになりました。
もちろんこのケースでも、ブリッジ・入れ歯による治療は可能ですし、問題なく使ってもらえることも多いです。
しかし、長期的な「予後」を考えると差が出てくると思います。
入れ歯やブリッジでも問題なく治すことができるのか、インプラントでなくてはいけないのか、そういった情報を得て、自分の歯の状態にあった治療法を、しっかりと考えて選択してもらいたいと思っています。
皆さん、最近、予防歯科の大切さを耳にされることが多いと思います。
しかし、予防をがんばっても虫歯や歯周病を絶対に防げるとは限りませんし、度重なる治療や放置によって最悪の場合歯を失ってしまうことも稀ではありません。
歯を1本失うとどうなってしまうのか?意外かもしれませんが「何ともない」と答える方が多いです。さすがに前歯を失うと見た目が困りますが、奥歯1本であればあまり他人からは見えませんし、食事も案外不自由なく摂ることができてしまいます。その結果放置してしまう方が多いのが実情です。
しかし、一時的には何ともなくても、失った歯の両隣や噛み合う歯が数年かけてだんだんと移動傾斜していき、気付いた時には、他の健康だった歯が、痛い、噛めない、見た目が悪い、といった問題につながってしまいます。
今は不自由なくても、失った歯の放置は絶対にしてはいけないものと思って下さい。
失った歯の補い方は入れ歯・ブリッジ・インプラントの3種類がメインですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。どれを選択するにしても、それぞれの特徴を知らずに安易に治療を受けてしまうのはとても危険なことです。
当院ではインプラントの無料相談も行っておりますので、歯を抜いたままになっている方や、抜かなければいけない歯がある方は是非一度ご相談下さい。まずは歯を失わないようにすること(結構大変ですよ)、そして何かあった時には早めに歯医者さんを受診することが大切です。