インプラントオーバーデンチャーとは

インプラントには、いくつかの治療法があることをご存知でしょうか。顎の骨にフィクスチャーと呼ばれるチタン製の人工歯根を埋めるという点は全てに共通しているのですが、上部構造には症例に応じた複数の形態が存在します。その中でもインプラントオーバーデンチャーは、少し特殊なインプラント治療といえます。

 

1.インプラントの総入れ歯

 

インプラントオーバーデンチャーは、簡単にいうとインプラントの総入れ歯です。ですから、全ての歯を失った症例で適応することができます。ここで気になるのが、全ての歯を失ったということは、全ての歯根をインプラントで補うのかという点ですよね。つまり、上下で28本あった歯の全てを人工歯根であるフィクスチャーの埋入で補綴するのか、ということです。

 

2.数本のインプラントで全ての歯を支える

 

インプラントオーバーデンチャーで埋入するインプラントは数本に限られます。一般的には上下それぞれ4本ずつのインプラント体を埋め込んで、総入れ歯を装着することが多いです。ですから、28本もインプラント体を埋め込む必要はないといえます。

 

3.どんな総入れ歯を被せるの?

 

インプラントオーバーデンチャーで被せる総入れ歯は、通常の総入れ歯とは少し異なります。なぜなら、本来総入れ歯というのは、支えを顎堤と呼ばれる、もともと歯があった部位や口蓋などに求めますが、インプラントオーバーデンチャーではその必要がありません。なぜなら、そういった口腔粘膜とは比較にならないほど安定性の高い人工歯根があるからです。顎堤に埋め込んだ複数本のフィクスチャーを支えとし、通常の総入れ歯よりも少し小型なものを設置させる形で口腔内に装着します。

 

4.総入れ歯と何が違うのか?

 

全ての歯を失った症例で、総入れ歯とインプラントオーバーデンチャーの2つの選択肢が提案されたケースを想定します。

 

4-1 安定性が違う

 

インプラントオーバーデンチャーには、人工歯根が存在しますので、安定性が比較的高いです。一方、総入れ歯の方は人工歯根がありませんので、安定性が低いといえます。

 

4-2 噛み心地が違う

 

総入れ歯を装着したことがある方ならイメージできるかもしれませんが、顎堤や口蓋などの口腔粘膜に支持してもらっている総入れ歯は、ものを噛んだ時の感触があまりよくありません。不安定なこともあり、効率的に咀嚼できないだけでなく、食材そのものが持つ食感なども楽しみにくくなっているのです。一方、インプラントオーバーデンチャーは、顎堤にしっかりと固定されていますので、噛み心地は良好です。

 

4-3 設計の自由度が違う

 

総入れ歯というのは、人工歯の位置や義歯床の形態などが、患者さまの口腔内の状態でほぼ決められています。ですから、場合によっては審美性が犠牲になることもあり、患者さまの中には入れ歯のできに満足できない方もいらっしゃいます。一方、インプラントオーバーデンチャーであれば、総入れ歯と比較して設計の自由度が高いため、患者さまの満足度は高まる傾向にあります。審美性と機能性の両方を重視した設計も不可能ではありません。

 

5.まとめ

 

インプラントオーバーデンチャーは、総入れ歯とインプラントが組み合わさった補綴物です。全ての歯を失った症例にも適応でき、従来の総入れ歯よりも安定性や機能性、それから審美性も優れています。ただ、保険が適用されないという点でデメリットは存在しますので、インプラントオーバーデンチャーが持つメリットとデメリットを勘案した上で、治療を検討されてみてはいかがでしょうか。実際に歯科医院などで模型を見せてもらうとさらにイメージがわきやすくなるかと思います。